今日、札幌で「TPP交渉参加問題を考える道民集会」が開かれる。
 
 TPP交渉参加を巡って、TVの報道番組でも連日取り上げられているが、その報道のしかたに私は疑問をもっている。
 TPP参加によって日本の得意とする工業製品等の輸出にメリットがある一方で、デメリットがある分野として農業が取り上げられることが多い。ある日の報道番組では、農家へのダメージは大きいと言う一方で、輸出をもくろむ農家が紹介され「”守りの農業”だけでは通用しない」「農家も近代化や企業化を図れば太刀打ちできる」と言わんばかりだ。また別の番組ではサクランボが関税撤廃後も輸入品に負けないシェアを維持し、輸出を視野に入れる農家が紹介されていた。続いて「日本の米は世界一美味しい、輸入品が入ってきても負けないでしょう」とコメントを述べていた。また、先日野田首相は農協を介さず米の販売を行う農家を訪れ、日本の米も輸出できるとパフォーマンス?を行っていた。別のインタビューでは「農協が農家の競争力を阻害している」などとのコメント。農協の組織疲労はあるだろうが、全国の農家が農協を無くして営農活動を続けられるのだろうか。またまた始まった「木を見て森を見ない」うわべだけの薄っぺらな批判である。
 よく考えて欲しい。まず嗜好品であるサクランボと主食である米を同じに扱うことが正しくはないこと。また、特別栽培米などの農家や有機栽培農家などは、コストを重視しない限られた特別な需要向けであって、農家が皆その営農スタイルに転換して日本の農業全体が成り立つはずはないということ。報道にはこのようなマクロ的な視点が欠けているのだ。このような報道のしかたは見方によっては”やらせ”と同じだは言えないだろうか。