5日の道議会農政委員会では、一般企業の経営感覚から農業経営を抜本的に見直すべきだという論点での議論が行われた。例えば、規模拡大によるコスト削減と所得増で補助金に頼らない競争力のある農業は可能だという考え。また、昭和45年から始まったコメの生産調整奨励金8兆円は農家の競争意識を削ぎ、有効なではなかったという考え。更に、民間企業の参入を促すことが農業の発展につながる。それを阻んできたのは農家を一元管理する農協の既得権益を守りたいためではないかという考えに基づいた質問が行われた。

 総合的に判断すると、新自由主義的な発想で農業を見ていると感じた。私は現在の農業政策を全て肯定する気はないし、JAの改革や制度疲労は否めない。しかし、JAがいらないことにはならない。また、対処的な農業政策が行われてきたことも否定できない。だからといって、家族経営を否定し、民間企業の参入による農業は何をもたらすのだろう・・・・地域政策という意味合いもある農業の多面的機能を考えたとき、民間企業が条件不利な中山間地域での営農を選択するはずもなく、地域全体が維持できるのかという疑問は払拭できない。また、コメの生産調整があったからこそ現在の農業が維持できてきたという考えはできないだろうかと思った。そして、一部の有機農業のように特殊な成功例をもって北海道全体の農業がその方向で成り立つのかという課題は無くなったわけではない。もちろん、このような抜本的な意見は否定するつもりもないし、大いに議論を続けるべきだと感じた。