同じ新聞社のコラムだ
(2013・4・25)
▼(道教委は)(略)全国学力テストを前に、過去問題を児童・生徒に解かせる事前準備を促す通知を市町村教委に出していた▼6年前の学テ再導入の際、文科省はその目的を「教育施策の成果と課題を検証するため」とした。過去問練習が正確な実態把握につながるとは思えない。通知にあわせて配布した子ども向けパンフレットでは道内の正答率が低いことを挙げ、「悔しくないだろうか」と得点アップをあおる▼お門違いも甚だしい。「過度の競争と序列化に陥る」との当初からの懸念を実証しているようなものだ。道教委がまずなすべきは教育環境を整えることで、子どもの尻をたたくことではあるまい。
(2013・5・6)
▼札幌市内のある高校に年配の数学教師がいた。「テストを毎日やります」と言うので、生徒らは彼を老人扱いして猛反発。だが間もなく彼は生徒の心をとらえる▼その秘密はテストの設問にあった。教科書の例題がそのまま出されるのだ。いわば満点とって当たり前。それでもやはり満点はうれしい。しかも確実に理解力が付き、いつしか応用問題も苦にならなくなった。わかれば数学も楽しい▼教師の評価が一変するのも当然だ。私事で恐縮だが、40年以上前の筆者の実体験である。(中略)ベテランの魔法の指導法かと思ったが、どうやらこれは、脳や心の働きからも説明できるらしい▼陥りがちな「負のスパイラル」。失敗の記憶が、さらに次の失敗を招いてしまう。そこから抜け出す一番の方法は、確実に結果が出ることに取り組んで成功体験を積み重ねることだという(西多昌規(にしだまさき)著「『失敗』は脳から消せる」)(後略)