こどもの日のある新聞社説は「閉塞社会を打破しよう」との見出しで、現代の若者が夢を描けないのは、経済格差が広がり将来展望が抱けない若者が多く「内向き思考」などとも言われ、将来を悲観するこどもの割合が他国より多いのは見過ごせない。その解消には、社会格差の固定や貧困の連鎖を断ち切るために、教育の機会均等や企業・自治体が幅広い人材登用の知恵を絞るべきだと主張している。
 決して間違いだとは思わないが、私はこの主張こそが「内向き」だと感じた。「格差の固定が豊かさを実現した現代社会で起きていることに、憤りを覚える」と強く非難しているが、この「豊かさ」は右肩上がりの高度成長を経験した日本だからこそなし得たことであり、「平等」や「格差是正」を”最”優先と考えることこそが、私は「内向き思考」だと考える。
 政治の世界に身を置くと、あらゆる分野で弱者を救済し減らすことに注目が集まりがちだが、一方で経済の牽引車たる優良企業(ローカルも含めて)を後押しすることも忘れてはならないと思っている。日本は高度成長を望めない新たな局面を迎えているが、成熟した国づくりをどうしていくべきかを「未来志向」で語って欲しいものだ。そのために私は「戦後の自虐思考」を改め、日本人としての自尊心の再構築が必須だと思っている。その上で「豊かさ」について今一度考える機会が必要だと思うが、その思想はこの社には無いようだ・・・