自民党は28日、領土教育の強化のために学習指導要領の見直しに着手する方針を固めた。日本の領有権の正当性を踏まえた教科書の普及を目指すという。

文科省は26日高校教科書の検定結果を公表、多くの社会科教科書(政治・経済/地理)で北方領土に加えて、竹島と尖閣諸島の問題を取り上げている。 新聞各紙を比較したとき、それぞれ独自のスタンスが感じられて興味深い。

(朝日)は現場教師声を紹介。「気をつけて扱わないといけない話。あまり深入りしない」、「竹島や尖閣は中立的に教えるのが難しい。授業では触れにくい」、そして「大切なのは日本の立場を強制するのでは無く、経緯と現状を冷静に理解させること」

(産経)は尖閣・竹島の記述が増えたと述べ、「『日本固有の領土』と明記した記述がほとんどない」、「韓国との間に主張の相違があることは指摘しても、『竹島が韓国に不法占拠されている』と明記した教科書はなかった」と伝え、領土や国境に対する正しい問題意識を培ううえで十分な記述とは到底言えないと主張している。

(毎日)は 領土問題に関しては、政府見解に基づき竹島と尖閣の扱いに差をつけるよう意見が付き、修正し対応した」と伝えたほか、中国・韓国の反発も紹介している。

(北海道新聞)は領土問題における(解説)で、「なぜ対立が生まれたのか、問題解決に向けて考える材料が不足している」と主張。更に、「(領土への関心は)ナショナリズムの加熱につながりかねない」、「(安倍政権は)教科書を通じて『愛国心教育』を進めるのが狙い」、「国が(子どもたちに)教える内容を指導するのではなく、教科書会社や現場教員の創意工夫によって、子どもたちに幅広い客観的事実を提供することが何よりも求められる」と述べている。

中立の立場でものを見て考えるという姿勢は、教育という分野ではわかる気がしないわけではない。しかし、国家の主権に関わる問題で、政府の明確な見解があるにも関わらず、対峙する外国の言い分をまともに取り上げて比較することが、未来の日本を造る若者への正しい教育と言えるだろうか。特に北海道新聞の主張には首を傾げてしまう。北方領土問題では、明確に我が国の主張を指示してきたのではないだろうか。それとどこが違うというのか?