福島県での「手抜き除染」を朝日新聞がスクープした。除染の作業ルールは、はぎ取った土や落ち葉を全て袋に入れて回収、さらに洗浄に使った水も回収することになっているが、そのルールが守られていないことが取材で明らかになった。さらに、元請けゼネコンJVの現場監督から下請け作業員へ、ルール破りを指示されていたケースもあったというのだ。
 ある識者はそれを取材した朝日新聞社に対して賞賛するとともに、民主党政権下で行われてきた除染の現状を棚に上げて、今後自民党政権が受注したゼネコンに「たかるのか」と警笛を鳴らしている。自民党嫌いなのは勝手だが、たいへん失礼な言い方だと感じた。
 北海道新聞でも除染に群がるゼネコンとその効果の特集があった。放射線量は自然減衰40%、除染効果10%だといい、その10%のために3年間で1兆5千億円の予算計上がなされ、記者の「費用に見合う除染効果」についての質問に、地元飯館村菅野村長は「除染に費用対効果なんていう言葉を使ってほしくない」とのコメントを紹介している。最後に飯館村の農地除染の費用は、地域の農業生産額の50年分に当たるという。道新は除染は無駄だと言いたいのだろうか。
 がれきの広域処理に対して、反対派の考えは震災がれきの「県内閉じ込め」だった。もちろんそれはふるさとを捨てての移住を意味するが、私ならそれを支持するとは言えない。除染は、誰もが経験したことのない気の遠くなるような膨大で手間のかかる作業だと思われる。そのノウハウもまだ確立していないようだ。今回のスクープのように、ずさんな作業などの回り道もあるかもしれない。しかし、帰りたい人がいるのなら、できる限りの除染を試みるのが、安価な電力の恩恵を受けてきた国民の責任ではないだろうか。