先日、元NHK海外特派員で外交ジャーナリストの手嶋龍一氏の講演を聞く機会があった。最も印象に残ったことは、日本の政治・経済を考えるとき、常に世界の動きを注視していなければならないということだった。「当たり前」だと思われるかもしれないが、自分の中に、イランの核開発やそれに対するイスラエルの動き、ギリシャの経済、北アフリカの政情に関してなどは軽いウェートでニュースを観ていたことに気が付いた。
 ある地方紙面で寺嶋氏が「超大国と安全保障同盟を結んだ国は、外交や安全保障という最重要の課題を同盟国に安易に委ねてしまいがち・・・・その結果、大きな政治を自ら担おうという人材が政治家を目指さなくなった・・」また、北朝鮮が長距離核弾頭ミサイルの発車予告に対しても「日本として何をするのかを示さなかった」と述べている。
 折しも韓国ソウルで行われた核安保サミットで、野田首相が蚊帳の外に置かれ主要国と立ち話しかできなかったとの報道がなされた。国際舞台で主導権の握れない日本にいらだちを覚える国民も多いと思う。しかし、このような記事を書くことも主体性が無く他人を気にする発想から脱し切れていない表れだと私は思う。寺嶋氏が述べるように、外交や安保に重きを置かず日本が世界でリーダーシップをとる必要がないことで政治家が育たなかったように、マスコミそして国民も同じなのかもしれない。
 しかし、それで良いとは思わない。戦後の日本は日本であって、これからの国づくりには、憲法改正を含めて自分の国は自分で守り、経済規模に合わせた国際的な責任とリーダーシップのある国であるべきだと私は考える。