高橋はるみ北海道知事をはじめ、全国の知事が定期点検中の原発の再稼働を認めない発言を繰り返していますが、私はそのことに異論を唱えます。
 知事は21日の自民党などの代表質問に答えたもので、内容は、政府が当面の安全対策が実施されたとして再稼働を求めている事に対して、(1)原発事故における地震そのものの影響(2)浜岡原発だけ停止した明確な理由、の二点の疑問に対しての回答がないことを理由に、再稼働を認めないとしています。
 21日の北海道新聞社説では「協力しろと言われても」と題して、夏の電力不足を前に再稼働を急ぐ国の姿勢に、「住民の安全と電力供給は次元の違う」「電力不足をちらつかせて協力を求められても、地方は受け入れようがない」と主張しています。
 福島原発事故の検証が済んでいない段階では、安全性に不安が残ることは否定しません。しかし、その不安を理由に再稼働を認めないのなら、現在稼働している原発も即刻停止にしないとつじつまが合わないことになります。先日、泊原発の近隣4町村関係者と懇談をしたとき、その疑問を投げかけたところ、私と全く同じ考えでした。さらに、世論調査でも「直ちに廃炉」「定期検査に入ったものから廃炉」を併せても28%程度で、現存する原発を稼働させつつ、将来的には脱原発を目指すとの意見が圧倒的なのです。定期検査は再稼働を前提に行われるもので、機器に問題がなければ粛々と継続稼働の状態に戻すべきだと私は考えます。
 知事は政府に責任を求める姿勢を示していますが、稼働中の原発全てが定期検査に入る来年までに、国が十分な事故検証と新しい安全対策を実施できる保証はない。今後次々と定期検査に入り再稼働ができない状態が続いたころ、曖昧な追加安全対策でお茶を濁すことにならないだろうか。