福島第1原発事故で原子力発電の安全神話が崩れてしまった今、映画チャイナシンドロームは観る価値十分の映画です。

制作は1979年と今から30年以上も前の作品で、主演はジェーン・フォンダ、ジャック・レモン、マイケル・ダグラスと大物俳優の出演です。福島第1原発の営業が78年秋なので、ほぼ同時期の原発事情を表していると言えるのでしょう。ちなみに米国スリーマイル島原発事故はこの映画上映の12日後とのこと。

ストーリーは、ニュースキャスター・キンバリー(ジェーン・フォンダ)が原発を取材中に重大事故(メルトダウン)の寸前の様子を目撃、さらなる取材を進める一方で、現場技術者のゴデル(ジャック・レモン)は、安全だと確信していたデータがいいかげんなチェックと管理で、重大なトラブルにつながる危険性を発見する。電力会社のずさんな安全管理を暴き原発事故の危険を回避しようとする主人公たちと、利益を優先しようとする電力会社の闘いを描いたサスペンス。

メルトダウンやチャイナシンドロームの可能性に関しての知識を得たいと思ったのですが、その点は分からないままでした。しかし、原子力に関する一方的な”安全”情報にどれほどの信頼性があるのか?こんな時だから、大いに考えさせられるストーリーです。企業の利益優先と危険性を隠匿する体質を描いた姿は、今後の政府や原子力安全・保安院、電力会社などの発表をどう受け止めるかの問題提起となりました。ただし、無知でヒステリックな心配は論外として、現有電力量の維持と産業振興を考えながらの電力問題を考えたいと思います。